喉ニ小骨ガ

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「一分間のラブストーリー」
トーストに、何つける?


トーストに、何つける? 本編

2009.09.23  *Edit 

 腰に巻きつけるカフェエプロンは可愛いけれど、上着が汚れるから料理には向かない。折り畳まれたまま出番を待ち続けるそれに「ゴメンね」と謝りながら、私は今日も普通のエプロンを手に取った。後ろ手に紐を結び、踵のないダイエットスリッパをつっかける。
「さて、今日のメニューは何にしよっかなー」
 思い浮かんだ『カリカリベーコン&目玉焼き』は、冷蔵庫にくっつけた温度計を見た瞬間あえなく消え去った。朝六時だというのに表示は三十度。どうりで汗が吹き出すわけだ。
 クーラーのリモコンに手を伸ばしかけ……迷った末に引っ込めた。賢い奥サマとしては、電気を使わずに涼しくなる方法を考えねば。
 私は一度キッチンを出ると、冷水シャワーをサッと浴びて汗を流した。電気代節約の代わりに、思わぬ時間のロス。濡れ髪のままエプロンをつけてキッチンへ駆け戻り、冷蔵庫からアボカドとトマトを取り出す。夏野菜は体を冷やしてくれる優れものだ。角切りにして手作りマヨネーズをあえ、ちょっぴりのニンニクと黒胡椒、ハーブの効いたクレイジーソルトをアクセントに。
「メインは……ちょっと手抜きしちゃお」
 再び冷蔵庫をのぞき込み、先週お取り寄せした『鴨とフォアグラのリエット(ペースト)』と温泉卵をチョイス。リエットは青いレタスの葉にのせ、温泉卵はココットの容器に落とす。それらを舟形のセラミックプレートに盛り付ければ、涼しげな一皿のできあがり。
 残るはあと一品……。
『――ガタン!』
 洗面所の引き戸が開く音が響いた。彼が起きたから、そろそろトーストを焼こう。
 トースターに差し込むのは、彼が好きな厚切りのホテルブレッド。焼き上がるまでのわずかな時間で洗い物をやっつけ、アイスコーヒーを用意する。
「んー、今日もいい匂いっ」
 私の声に応えるように、レトロなポップアップトースターからキツネ色の耳がぴょこんと飛び出した。この子はいつもお値段以上の幸せをくれる。
 毎日食べても飽きないのは、つけるもの次第で鮮やかに変身するから。冷蔵庫の最上段には、ディップを並べたトレーが収まっている。ベーシックなバター、口溶けの良い発酵バター、甘さ控えめなピーナツバターに、フルーツのコンフィチュール(ジャム)が数種類。
 トレーをテーブルに移すと、並んだ容器の表面がじわりと汗をかき始めた。さっきシャワーを浴びた私の体もすでに汗ばみ始め、ショートボブの毛先から肩や背中に落ちる滴が冷たい。
「そっか、こういう暑い日こそピッタリじゃない?」
 食器棚の引き出しから、お蔵入りのカフェエプロンを嬉々として取り出したとき、彼がリビングにやってきた。
 私は、最高の笑顔で出迎える。
「おはよっ、ダーリン! ねえ、トーストに何つけるか決めて? 暑くてバターが溶けちゃう」
 まだパジャマ姿の彼は、私を見つめしばし絶句した後、こう言った。


「暑いのは分かったから……せめて、パンツくらい履いてくれ」


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【後書き】補足&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
(携帯の方は「テキストコピー」でたぶん読めます)
ドメスティックバイオレンスオチと、このアホオチで迷った結果、両方世に出すことにしました。このシリーズは予想外のオチはあまり用いないのですが、今回はドキッとしてもらえたかと思います。そう、ハダカエプロン……日常にありうる天国(?)を提供してみたいなーと。ダーリンには、今回ツッコミをさせてみましたが、ノリボケさせても良いですねぇ。しかし、その後の展開が(ピー)になってしまうので、なんとも……うふ。

※元ネタの『トーストにピーナツバター』(恋愛掌編・PG12)もよろしければどうぞ。
※お世話になっている某鶴様より、素敵な『イメージイラスト』をいただきました!(一応オチがオチなので、R15ということでクリックをお願いします。orz)




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