喉ニ小骨ガ

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「砂漠に降る花」
第三章 王位継承


第三章 閑話 ~名探偵クロルの事件簿(5-1)~

2009.06.24  *Edit 

 愉快な散歩道は、それほど長くは続かなかった。
 すぐ脇で繰り広げられるバカ騒ぎも耳に入らないのか、うつむきながら額に手を当てるテレビドラマの警部ポーズで歩いていクロルが、サラの右手をクイッとひっぱった。

「そろそろ、目的地に着くよ。ほら、見えてきた」

 先頭集団の瞳が、鮮やかな赤を捕らえた。

  * * *

 木漏れ日の当たる小道が途切れ、突然目の前に広がったのは、明るい日差しと赤い花を中心に様々な花が溢れる広場。
 しゃべりながら来たせいもあるが、本当にあっという間だった。
 時間にすれば5分もかかっていないように思える。
 中庭に出るとき、楽チンなぺたんこ靴に履き替えたサラは、用意してくれたデリスにあらためて感謝した。

 大きく深呼吸するサラの隣で、あの日はパニック状態だったルリがほぅっと吐息をつく。

「すごい、花の香りね……」

 小道の途切れた先は、ほんの少しなだらかな芝生、そのの突き当たりには、強い香りを放つ小ぢんまりとした花畑、左手には木のベンチと古いブランコの置かれた小さな高台がある。

 陽だまりの中で、咲き誇る花々。
 遠くには小鳥のさえずる声と、葉ずれの音。
 サラはまるで楽園のようだなと、あの日も、そして今も思った。

 続々と到着する同行者たちも「こんな場所があったとは」と驚きの声を上げる。
 そんな中、デリスがぽつりと呟いた。

「ここは……まだ、残っていたんですね」

 筋張った手のひらで口元を覆い、懐かしむような悲しむような表情で立ち尽くすデリス。
 サラが質問しようとしたとき、クロルは「じゃあ、そろそろいいかなー」と言いながら、サラの手をポイッと離した。
 相変わらず気まぐれで考えの読めないクロルは「皆もっとこっちに来て」とヒラヒラ手を振りながら、ツアコンのように全員を広場の中まで先導する。

 サラはもちろん、王子や重鎮たち、しんがりを守っていたらしい国王もついていく。
 全員が広場におさまると、かなりギュウギュウだ。
 その集団から1人飛び出したクロルは、サラとエールがほんの少し語り合った、少し小高いベンチのある場所へ進んでいく。
 泥で汚れた靴のまま、遠慮なく椅子の上に飛び乗ると、全員の表情を見渡した。

「父様も……うん、全員揃ったよね?」

 じゃあこれから皆に問題を出すからと、クロルは笑顔で告げた。
 明るい日差しを受ける美少年……なのだが、どことなく違和感があるのは、きっと瞳が一切笑っていないからだろう。
 
「まずは、最近この場所に来たことある人ー?」

 クロルが「あ、僕たちは別だよ」というと、ビシッと手を上げたリグルが「先に言えよ!」と恥ずかしそうに引っ込める。
 リグルの遠吠えを聞き流すように、クロルは顔を王城側へ向ける。

「庭師サンは?」

 小道の出口に、遠慮がちに立っていた小柄な男が、クロルの鋭い視線を受けて、怯えたようにブンブンと首を横に振った。

「ふーん、来てないんだ。ま、そーだろうね。あの茨の道、久しぶりに人が通るって感じだったし」

 庭師と呼ばれた初老の男は、重鎮たちに注目される中、日に焼けた顔を真っ青にしている。
 サラの居る場所から見ると、その男は国王と月巫女のすぐ脇にいる……そのせいもあるのかもしれない。

「じゃあ、気分が悪くなった人、吐きそうな人、いたら正直に手を挙げてー!」

 またまたツアコン風に、高らかに声を上げたクロル。
 全員が、その意図のカケラすら推し量ることができず、ただクロルの微笑を見上げていた。


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【後書き】↓次号予告&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
(携帯の方は「テキストコピー」でたぶん読めます)
 ごめんなさい、今回の話ギリギリで続き書き直すことにしました。短くてスミマセン。なんか、話がどんどん説明調になってしまい……頭が溶けてるせいもあると思います。祝100回のはずが、呪100回に……キ○コさんが行列でこないだそんなベタなマチガイをしたと言って、シンスケにボコボコにされていた、あれを笑った呪いだと思います。
 次回は、ちゃんとしっかりクロル君の質問編です。すみませんー。



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