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第四章 プロローグ1 ~サプライズパーティ~

第四章 女神降臨


 壇上にずらりと並んだ椅子には、いつものメンバーが腰掛けている。
 中心には、やはり国王。
 隅っこに引っ込もうとしたところを「王位継承の式を執り行うまでは、この場所に居てください」と、リグルたちが強引に座らせた。
 おかげで若干不機嫌そうにも見えるが、実際は頼りにされることを喜んでいるようだ。

 国王の隣には、サラ。
 ドレスではなく、黒騎士の姿でここに座るのは初めてだ。
 腰の黒剣は、一応バルトに預けてある。
 盗賊の砦を出発したときと同じくらいサッパリした髪のせいもあり、サラはまた完璧な少年となった。

 サラのすぐ隣には、ルリ姫。
 相変わらずの清楚なドレスに、くるふわヘアの妖精っぷりで、サラは思わず見とれてしまう。
 ルリも黒騎士に見とれているので、あたかも両思いなのにお互い言い出せないクラスメイトのように、チラチラ見ては頬を染め合っている。

 そのすぐ隣には、デリスが立っている。
 デリスは、侍従長の役割を引き継ぐことになった。
 主な仕事は、王族のケアと、各部門への仕事の割り振りや調整、後宮と人員の管理。
 タテワリの対立が緩和され、人事の一部は文官にシェアされたので、教育係との両立もこなせるだろうとのこと。

 国王の向こうには、リグル、エール、クロルが並んでいる。
 サラから距離が離れてしまったことに、クロルはおかんむりだ。
 きっと国王の『無礼講宣言』があれば、すぐこっちへ飛んでくるに違いない。
 ただ、今日の主役はサラなのだから、クロルにばかりかまってはいられないけれど……。

 サラは、ルリの向こうに佇むデリスを見た。
 年相応にシワが刻まれた横顔と、しゃんと伸ばした背筋が美しい。
 白髪混じりの髪はいつものようにひっつめて、髪飾りや宝飾品は無し。
 ナチュラルメイクと、珍しく黒を基調にしたシンプルなドレスが、ヘレンケラーに出てくるサリバン先生をイメージさせる。

 ドレスは、国王があっという間に手配して、先ほど強引に着せたものらしい。
 そういえば、この城に到着した直後に、サラ自身が同じ目にあったことを思い出し、サラの唇から笑い声が漏れた。
 今日の影の主役は、デリスなのだ。
 デリスの喜ぶ顔が見られたら、国王も王子たちも、そして臣下たちも喜ぶに違いない。

 赤いカーペットが敷かれた壇上に居るのは、それだけ。

 今までは必ずここにいた、月巫女も侍従長も……居ない。
 現在二人は、王城地下に罪人として幽閉されているという。
 サラは、パーティが終わったら、二人に会ってみようと考えていた。
 その後のスケジュールは、城を出て一度領主館へ泊まり、アレクたちと戦地を攻略するための作戦を練る。

 出発は、明朝。
 目的地は、砂漠とオアシスの境界線上にある『シシトの砦』だ。

  * * *

「では……今宵も無礼講だ!」

 国王の宣言に、大きな歓声が上がる。
 会場に入りきらないほど大勢の臣下たちが詰め掛けたのは、サラの人徳なのか、それともハメを外したいだけなのか。
 サラは、笑顔で溢れる会場を見渡しながら苦笑した。

 赤い花事件の直後ということもあり、皆疲れていたはずだったが、どうやらこの国の人々は根っからのお祭り好きらしい。
 特に、王族との距離がグッと縮まったことや、警護すべき貴族たちが居ないこともあり、臣下たちは大いにはしゃぎ、酒を酌み交わした。
 今夜に限っては、警備を担当する騎士たちもローテーションでパーティに参加するという。
 しかし、お堅いバルトによって、警備の仕事が終わるまで酒を飲むのは禁じられてしまったのだが。

「サーラ姫っ」

 さっそく、大きな茶色い猫が一匹、サラに擦り寄ってきた。
 重い上着を脱ぎ捨て、身軽なシルクのシャツ姿になったクロルだ。
 リボンタイはまだ取っていないし、いつもふわふわさせている髪の毛も撫で付けてあるので、充分過ぎるほどの王子フェロモン。
 そして……臣下たちがこっそり盗み見ているのも構わず、サラの腕に抱きついて黒髪にすりすりと頬を寄せる。

「どうしたの? 甘えん坊だねえ」
「だって、もうしばらく会えないんだし、マーキングしとかなきゃ」

 サラが呆れ半分、可愛さ半分でため息をつきかけたとき。

「――私もっ!」

 意を決したのか、隣の席でもじもじしていたルリがダイブ。
 サラより身長は低いものの、高めのヒールによってクロルやサラと同じ目線のルリが、サラの空いている腕に絡みついた。
 右を見ても、左を見ても、カワイコちゃんがすりすり……これぞハーレム!

「……じゃあ俺も」
「いや、待て」

 可愛いとは程遠い秋田犬リグルが、大きな図体で尻尾をフリフリして寄っていくのを、長男気質により理性を保ったままのエールが押さえつける。
 咎めるでもなく、笑いながら見ている国王と、雷を落とすタイミングを計っているデリス。
 その様子を、臣下たちも微笑ましく見守る中……。

 一人の侍女が動いた。

「サラ姫さまっ!」

 見慣れた侍女服にエプロン、伸ばしかけの髪を左右二つのお団子に結わえたリコが、舞台へと繋がる階段を昇り、サラの元へと駆け寄ってきた。

  * * *

 リコは、デリスに許可を取ると、ピシッと一礼してさらに近寄る。
 しかし、現在サラはハーレム中。
 最近めきめき自己主張が上達してきたリコも、さすがに王子たちに遠慮があるのか、もじもじしている。
 サラは二匹の子猫ちゃんに「ここで大人しくしてて?」と命じた。
 二人は唇を尖らせながらもうなずいて、サラの腕を放した。

「リコ、もしかして……?」
「はい。もう準備万端ですっ!」

 知らず、頬の筋肉が持ち上がってしまうサラ。
 こそこそ内緒話をしつつも、微笑むサラに見とれかけるリコは、慌てて気合を入れなおす。
 リコにとっても『二人目のお母さん』になったデリスに、恩返しができるチャンスなのだ。

「どうする? 全員に見届けてもらった方がいいかなあ?」
「ええ、どうせならドラマチックに行きましょう!」

 ノリノリのリコに鼓舞されて、サラは強くうなずいた。
 リコはそのまま壇上から降りると、音楽隊が入場するための舞台袖に一番近いドアから出て行った。
 その間に、サラは国王へなにやら耳打ち。
 内々に計画は伝えてあったので、ニ三の短い会話で事は済む。

 不可解な動きを見せるサラに、王子たちは黙って注目し、臣下たちも自然と静まっていった。
 サラが国王から離れ、元の位置へ戻ると同時に、王子たちも一度着席する。
 つられるように、臣下たちも食べかけの皿やグラスをワゴンへ置き、全員が直立不動の姿勢を取る。
 物音一つない大会議室に、仁王立ちした英雄王の低い声が響いた。

「皆の者! 此度は“赤い花”の件で、ずいぶんと迷惑をかけた……すまなかった」

 国王は一度頭を下げると、目尻にシワを寄せながら苦笑した。
 なぜなら、その場にいた臣下たち全員が、呆気に取られて口をポカンと開けていたから。

「俺はこれから一国民に戻る。しかし、出来る限りこの国と国民のために罪滅ぼしをしたい……その第一歩が今日だ。この国が変わる一日目を、皆で祝えることを嬉しく思う」

 その声は、会場の隅々まで染み渡った。
 涙ぐみうなずく臣下たち。
 神が頭を下げ、自分たちの元に降りてくる。
 そしてこれから、同じ目的に向かって歩み始めると誓ったのだ。

「俺は、感謝している。皆にも、サラ姫にも、王子たちにも……そして、デリス!」
「ハイッ!」

 唐突に名を呼ばれ、思わず威勢良く返事をしたデリス。
 小さな瞳をめいっぱい見開いたデリスは、ローヒールの踵をぴったりと揃えて立ち上がり、国王へと顔を向ける。
 間に挟まれたルリは、二人の間を行ったりきたり、落ち着き無く目線を動かす。
 サラは国王と一度視線を絡ませると、静かに立ち上がった。

「デリス……あなたに、渡したいものがあるの」

 サラは、椅子の後ろに隠していた紙袋から小さな包みを取り出して、デリスに手渡した。
 動揺を表に出すまいと目を細めるデリスは、うながされるままに包みをそっと開いた。
 中から出てきたのは、一枚のハンカチだった。

  * * *

 キレイにアイロンがけされたそれは、決して特別なものではない。
 この王城に一時期でも滞在した女性なら、誰もが持つ白いハンカチだ。
 当然サラも、同じものを持っている。

 それは、礼儀作法を学びに来た女子に、デリスが一人一人の名前を刺繍してプレゼントしているもの。
 花嫁修業に来た貴族の娘にも、初めて王城に仕えることになった魔術師にも、もちろん侍女たちにも。
 単なる生徒ではなく、娘になった証として。

「これが、いったい……?」
「ねえ、誰のハンカチだと思う?」

 微笑むサラに促され、畳まれたハンカチをぱたりぱたりと広げていくデリス。
 その瞳が刺繍された文字を見つけたとき、そっと扉が開かれた。

「ナ……チ、ル……」
「――お母さまっ!」

 開かれたドアの中から現れたのは、一人の小さな少女。
 艶やかな髪をツインテールに結い、メイド服を身にまとった美少女だ。
 大きな瞳から溢れる涙をぬぐうことなく、床へ滴を落としながら駆け寄ってくる。

「ナチルッ!」
「デリスお母さまっ!」

 自分の背丈ほどある段差をものともせず、床を蹴りふわりと浮かび上がったナチルは、そのまま大きく広げられたデリスの腕に飛び込んだ。
 壇上で、二人は固く抱き合った。


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【後書き】↓次号予告&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
(携帯の方は「テキストコピー」でたぶん読めます)
 うー……ヤバイです。「あなたのお嬢さん、今日来てくれましたよ」みたいな番組、そーとーダメなんです。もう号泣。この話でもそういうベタなの入れたかったんですよねー。ていうかナチルちゃん、今まで放っといてゴメンよ。健気なチビッコなのでもっと活躍させてあげたかったんだけど、このシーンのために大人しくしててもらいました。その分再会は感動的に。読者さまは……忘れてないよね? お忘れの方は第二章へゴーです。あっ、でも恥ずかしいから見ないで欲しい気も……。さて、最近書いたくせに恥ずかしい出来だった第三章閑話エリアを、本日ざっと見直しました。誤字やら分かりにくい表現やらあちこち小規模修正……お恥ずかしいものをお見せしてスミマセンでした。ストーリーは全く変えてないので、読み直していただく必要はナシでございます……。
 次回、プロローグ後半戦。もう一個パーティ盛り上げるネタぶっこんで、地下牢チェックして、ついにお城とバイナラです。

第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(4)~

第三章 王位継承


 侍従長の話がひと段落しても、サラの心の棘はまだかすかに痛みを放つ。
 もう一人、気になって仕方が無い存在がいるから。
 サラは、思い切って訪ねた。

「それで……これから月巫女は、どうなるの?」
「別に、サラ姫が気にすることじゃないよ」

 一気に不機嫌になるクロルを、サラはとがめるでもなく黙って見つめ返した。
 月巫女の罪は、タロットカードの『月』のように曖昧。
 刑事ドラマ風に言うなら、限りなくクロに近いグレーだ。

 あの日、エールの体を使ってサラを襲ったのも、あくまで侍従長。
 月巫女はコーティの体を使ったけれど、侍従長に望まれたことしかしていない……それが、月巫女の主張だった。
 エールもコーティも、操られていた間の記憶は無い。

 今までの事件についても、証拠は何一つ残っていない。
 侍従長の記憶はデリートされ、魔術師長も医師長もそこまで深い事情は知らなかった。
 どんなに状況証拠を集めても、少しずつ関わった人たちの記憶の断片をつなぎ合わせても、真相は藪の中。
 サラが深くため息をついたとき、クロルもため息混じりに言った。

「結局あの女は、一番欲しいものを手に入れたんだ」

 国王は、もうしばらくこの国に残ることになった。
 “赤い花事件”と呼ばれる今回の後始末、過去の事件の再調査、リグルへの仕事の引継ぎ、侍従長のケア……なにより、危険人物である月巫女の存在。
 月巫女の真名を知る国王が、今後つきっきりで月巫女を監視するという。
 侍従長の件も含め責任を強く感じている国王だけに、月巫女の手を離してここから旅立てるまでには相応の時間がかかるだろう。

「もしかしたら、父様は一生月巫女を捕らえて……囚われて生きるつもりかもしれない」

 月巫女と一緒に森の向こうへ旅立ち、彼女を故郷へ帰すことができるならと思ったけれど、そうはうまくいかないらしい。
 一度森に染まり、そこを自らの意思で出た月巫女は、二度と森へは戻れないのだという。
 まるで帰る場所を失ったかぐや姫……それとも、はごろもを奪われた天女?
 自分を連れ出した男に執着するのは、仕方の無いことなのかもしれない。
 だけど……。

 うつむいて、首をゆるゆると横に振るサラ。

「そんなやり方で縛っても、きっと長くは続かない」

 欲しいものを手に入れたように見えても、いつかその報いが必ず来るはず。

  * * *

「私の世界には、こんな話があってね……」

 サラは、クロルに『北風と太陽』の話をした。
 今の月巫女は、北風のようだ。
 国王にマントを脱いで欲しいなら、太陽にならなきゃいけないのに。

「ふーん……面白い話だね。なんか、アレに似てる。ほら、サラ姫がここに置いてった……」

 クロルは立ち上がると、壁際にうず高く積まれた本の中から、薄い本を一冊抜き取った。

『たいようとつき』

 それは、サラがすっきりサッパリ忘れていたことの一つ。
 サラは心の中で、図書館の管理人さんに「元に戻さなくてゴメンナサイ」と謝った。
 クロルは、その絵本をパラパラ捲りながら、簡単に内容を教えてくれた。


 夜はくらいよ。
 何も見えなくてこわいよ。
 明かりがほしい。
 明かりがほしい。

 人々のねがいは、空にとどきました。
 女神が、太陽を泉にうつしてすくいとると、太陽そっくりの丸い明かりがうまれました。
 あなたは夜のやみをてらす明かりになりなさい。
 その明かりには、月というなまえがつけられ、夜空にうかべられたのです。


 各ページには、可愛い少女の姿にデフォルメされた、翼のある女神が描かれている。
 そして、淡い水色の空に昇る真っ赤な太陽と、濃い群青色の闇に隠れる白い月。

「人々の願いに応えて女神が作った、夜の闇を照らす月……生まれたときは、もっと大きかったんだ。太陽と同じくらいに。だけど月は、明るい空にのぼる太陽を憎んだ。力ずくで追い落とそうとして、結局女神に壊されてしまった。そんな月にも少しだけ良心が残っていて、そこだけは壊れなかった。その良心が、今の小さな月として夜空に浮かんでいる。壊れたカケラは星になりましたとさ」

 童話の話は、魔術師ファースが教えてくれた話と、似ているようで少し違かった。
 月は、ただ嘆いていたんじゃない。
 月は自分の欲しいものを欲しいと言い、女神と戦って負けた。
 女神の涙は、大事な物を自らの手で壊す、そんな決意の涙だったのかもしれない。

 サラは、黒剣に埋め込まれた宝石を、そっと撫でる。
 この話を聞いても、サラが思うことは一つ。
 月は、『北風と太陽』の太陽のように、誰も傷つかない方法を探すべきだった。
 自らがより光り輝くために、努力するべきだった。
 相手を無理やり変えようとするくらいなら、自分が変わる方が楽なのに……。

 考えながら、サラはその結論こそが、自分の信念なのだと気付く。
 どんなに過酷な状況に置かれたとしても、誰のことも恨みたくない。
 受け止められることは、なるべく柔軟に受け止めて、皆が傷つかない最善の方法を選びたいのだ。

「なんだか童話って、奥が深いね……」
「うん、そうだね。おかげで僕も今、イイコト気付いちゃった」
「何?」
「北風じゃなく、太陽にならなきゃってこと」

 クロルは、サラの顔の前に手を差し出し、人差し指を一本立てた。

「僕は、サラ姫のために頑張るよ。とりあえず、体鍛える。あと、サラ姫が自然に頼ってくれるような大人になる」

 照れるでもなく、皮肉るでもなく、淡々と告げるクロルの声。
 少し声変わりが始まったのか、ハスキーで心地よいトーン。
 サラの表情が映りこむくらい真っ直ぐに、決して逸らされない視線。

「だからそのときまで……僕のこと見ていて欲しい」

 少し照れたように頬を紅潮させ、太陽のように明るい笑顔を浮かべるクロル。
 サラの体は熱くなり、耳の先まで真っ赤に染まった。

 弟みたいに思っていた、年下の可愛い男の子……そのレッテルが、音を立てて剥がれた気がした。
 きっと彼は、英雄と呼ばれる人に負けないくらい、素敵な大人になるだろう。
 望まれるのが、その姿を見守ることなら……。

「うん、分かった。見ててあげるね」

 呟いたサラは、クロルの熱い手を取ると、もう一つ教えてあげた。

「私の世界で、約束はこの指じゃないの。小指の方……」

 鈴の鳴るような声で、指きりげんまんを歌うサラを、クロルは目を細めて見つめていた。

  * * *

 その後、しばし『針千本の針の形状』について、クロルと不毛な議論を交わしたサラ。

「そろそろ、行かなくちゃ。パーティの準備もあるし」

 おトイレにも行きたいし。
 今日も、美味しいインスタントクロル茶を飲みすぎてしまった。
 椅子から立ち上がると、お腹がちゃぷんと音を立てる。

「そうだ、また忘れちゃうとこだった。これ返さなきゃ!」

 サラは、テーブルの上に置かれたままの『たいようとつき』を手に取ろうとした。
 その手に、クロルの手が引き止めるように重ねられる。
 怪訝に思うサラを見上げる、クロルの瞳がキラリと光った。

 クロルは……なにやらいたずらを思いついたらしい。
 またもや口の端を吊り上げる、怖い笑顔を浮かべている。

「サラ姫……今日の僕に、何か変なことはなかった?」
「変って、いつも変だよ?」

 さりげなくヒドイことを言うサラに、クロルはムッとした表情を返す。
 先ほどまでの怖い笑みは消え、いたずら実行モードへチェンジ。

「このことも、昔からうすうす気付いてたんだ。でも、認める勇気が無かった」

 サラの手をそっとどかすと、クロルは絵本を自分の手のひらの上にのせる。
 腕をまっすぐサラの方へ伸ばすと、ふわりと絵本が浮かび……。
 立ち上がったサラの目の高さで一瞬止まった後。

 ――消えた。

「はい、お片づけ完了! ちゃんと元の場所に戻ったみたい。心配なら確認してくれてもいいよ?」
「なっ……な、なに、これ……」
「何って、闇の魔術?」

 パニックでとろけた脳みそがちゃぷんと音を立てるサラに、クロルはさも料理の手順を語るがごとく、淡々と解説した。

「なんでかはワカンナイんだよね。侍従長が、僕のこと“物質移動”の練習台に使ってたからなのか、魔女が次の器候補として呪いをかけてったからなのか、試しに月巫女の薬飲んでみたせいなのか」
「なっ、なんでそんな、大事なことを、今さら……」
「僕も今さっき自覚したから。潰した紙コップが、勝手に消えちゃったんだよ。びっくりしたなー」

 クスクスと笑いながら立ち上がると、サラの耳元に唇を寄せてささやいた。


「僕のこと、ちゃんと見ててね? そうじゃないと……ハリセンボンじゃ、済まないよ?」


 思わず鳥肌が立つような、ハスキーで魅惑的な音色。
 そのとき、サラの心に強烈な北風が吹きぬけたのだった。



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 第三章、やーっと終了! ほのぼのネタはいずれ番外編で……。しかしこの閑話は次章に入れるか迷ったのですが、入れなくて正解だったかも。かなりのボリュームになってしまいました。第一章と同じくらいかも……長いです。とりあえずクロル君「逃げちゃダメだ」ってことで、一歩大人にしてみました。絵本の話も拾えたし、クロル君の才能もキラキラ(?)させられたし、ハラグロっぷりも……まあこんなもんで勘弁してやってください。次回から第四章『女神降臨』スタートです。また新たな展開に入ります。起承転結の転ですね。旅の道連れは、領主館でくすぶってるアノヒトとー、王城からも一人、引率のオトナも一人。なんかRPGでパーティ人数制限あるとき、誰連れて行こう的なワクワク感が。
 次回、まずは出発前のサラちゃん、サプライズパーティでプロローグ。意外な人間関係が判明して、本人もビックリな展開に。

第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(3)~

第三章 王位継承


 亡くなったとばかり思った侍従長が生きていた。
 その種明かしは、凄腕シェフ・クロルの手によって、三分クッキング風にあっさり説明された。

「確か、闇の魔術が解けるには、それをかけた人の命と引き換え……じゃなかった?」

 ちょっと不器用なアシスタントもなんのその。
 魔術についてうろ覚えのサラが問いかけても、クロルは良くぞ聞いてくれましたとばかりに余裕の笑みを浮かべる。

「まあ、ラッキーなとこもあったんだけどさ。僕があの塔から拾ってきたもの、覚えてる?」
「うん。なんか、髪の毛っぽい……」

 ていうか、髪の毛なんだけど。
 サラが露骨に嫌な顔をするのも気にせず、クロルは言った。

「侍従長は、空間転移の魔術を完璧には使いこなせなかったんだろうね。自分の髪を贄として要点に置くことで、魔術を強化したんだ。きっとコーティが“赤い花”に変わったら、回収するつもりだったんだろうけど……」

 クロルの使う暗喩は、直球ストレート以上にキレのあるカーブだった。
 サラの背筋が、またもやゾワつく。
 咲き誇っていた赤い花の数だけ、人の死があった……そんなリアルなイメージを呼び起こされる。
 広場は墓地になるけれど、一人一人の墓標を立てるスペースはないので、調べがつく限り全員の名前を刻んだ、大きな墓石が置かれるという。

「あの髪の毛、侍従長が死のうとしたタイミングで引きちぎったんだ。広場に移動する間、ズボンのポケットに入れといたら、土壇場で見当たらなくなっちゃって、どーしようかと思ったよ」

 ズボンごと燃やさなきゃいけないとこだったと、白い歯をキラリと光らせて笑うクロル。
 もしそんな姿になったら……と、サラはリアルに想像しかけて、止めた。
 脳内にデリスが現れて「サラ姫様、はしたない!」と、強烈なお叱りが飛ぶ。
 「はい、ゴメンナサイ」と呟いたサラは、首根っこがちぎれるくらい頭を強く振って、話に集中しなおす。

「えーっと……その髪の毛が、侍従長の身代わりに?」

 クロルは、軽くうなずいた。

「アレは贄だったんだけど、侍従長の肉体の一部でもあったからね。ただ侍従長の魂は、毒を飲んだ時点でもう冥界へ行ってしまったんだ。贄が壊れて、術者が死んで、対象となったコーティはまだ生きていた。いろんな要素が重なって、あの結界は消えたんだ……」

 うつむいてしまったクロルとサラは、黙ってお茶をすすった。

  * * *

 魂だけが冥界へ行ってしまった侍従長は、空っぽの器になった。
 家族は居ないので、このまま王城で暮らすという。
 国王は、子どもの頃から世話になってきた侍従長が、まるで赤ん坊のように笑う姿を見ながら「これで良かったのかもしれない」と言ったそうだ。

「私もここを立つ前に、一度挨拶しに行かなくちゃ……」

 いつも眉間に縦ジワを寄せていた侍従長が、生まれ変わって無邪気に笑う姿が見たい。
 人の命を奪ったことは、決して許されない罪だけれど……罪は、いつか償えるものであって欲しいと思うから。

「そうだ。あとね、もう1つ仕掛けがあったんだよ」

 ぼんやりしていたサラは、クロルの話に現実へと引き戻される。

「それは、サラ姫サマのおかげ!」
「私のおかげって?」

 やけに嬉しそうな、ニコニコ顔のクロル。
 サラがお茶をすすりながら、何の気なしに問い返すと。

「会議のとき、途中で休憩入れたよね? あのとき、全員に君の髪の毛入り茶を出したんだよー」

 その瞬間、サラは吹いた。
 2度目の至近距離スプラッシュ攻撃を受け、さすがのクロルも……。

「あーあ、また汚されちゃったよ。でも、許してあげる……僕の嫁だしね」

 白い綿シャツの袖で、ごしごしと顔や髪を拭いながら、氷の微笑を浮かべるクロル。
 むせ返って苦しい喉をさすりながらも、今回は突っ込まずに「はい、ゴメンナサイ」と謝ったサラ。

「ていうか……いったいどこで、そんなものを……」

 いずれエールに飲ませようとは思っていたものの、実際自分が飲まされたとなれば話は別だ。
 なんだか動悸息切れがする。

「んー、内緒と言いたいとこだけど……実はリコちゃんから譲ってもらったんだ」

 クロルの手腕に、サラは心の中で白旗をあげた。
 髪の毛茶の原料は、リコが大切に拾い集めた『サラの枕元&ブラシ抜け毛コレクション』だったという。
 リアルに気持ち悪すぎるが、自分の髪が貴重品ということはようやく実感できた。
 それを飲んだことで、月巫女の薬の力が少し抑えられて、結果的に侍従長の命が救えた……。

 まったくオヌシはたいした髪じゃ、褒めてしんぜよう。
 へへー、ありがたいお言葉。

 短くなった横髪を指先にくるくる巻きつけながら、サラが時代劇な妄想を広げかけたとき。
 髪を拭き終わったクロルが、スッと立ち上がると、細い指でポチポチとボタンを外し……シャツを一気に脱ぎ捨てた。

 突然目の保養……いや、目のやり場に困るような、色白華奢な上半身が現れ……サラは、目をまん丸にしてそれを凝視した。

 なんて美しい……。
 ああ、美少年アイドルに熱狂してた日本の友達に、この生写真をプレゼントしたい……。
 いや、その前にこの転写イラストで、コーティを転ばせて……。

 サラの邪な視線をスルーし、クロルはベッドの脇に腕を伸ばすと、床に置いてあった紙袋から新しいシャツを取り出して羽織る。
 濡れたシャツは、ベッドの上へ無造作に放り投げようとして、ピタリと動きを止めた。

「あっ、そーだ。忘れてた!」

 摘んだシャツをテーブルに乗せると、もぞもぞと指を動かして、胸ポケットから何かを取り出した。

  * * *

 クロルが濡れたシャツから取り出したのは……小さな黒い小袋。

「サラ姫、お願い! コレ、こっそりエール兄に返しといてくれない? どっかで拾ったとか言ってさ」

 唖然とするサラの手に、小袋が渡った。
 握り締めると、ジャリッとしたアレの感触。
 リコの手から、エールに渡ったはずの髪の毛お守りだった。

「本当は、会議の前にちょこっと拝借しようと思ったんだけど、念のため前日からぬす……借りて、効果試してみたんだよねー。リコちゃんが、いろいろ面白そうなこと言ってたからさ」

 影の国王様は、いつのまにかリコを完璧に落としていたらしい。
 がっくりうなだれるサラの耳に、問題発言が飛び込んでくる。

「それが無かったせいで、エール兄あの晩あっさり体乗っ取られちゃったのかもね。悪いことしちゃったなあ」

 なんら悪びれずに笑うクロルに、サラは力なく問いかけた。

「しかし、またなんでソレを……?」
「うん。月巫女に“嘘”がバレないようにするためだよ?」

 僕の嫁は、砂漠のお姫さま~と、即興で妙な歌を口ずさむクロル。
 サラは、自分の立場が首の皮一枚でつながったあのシーンを思い出し、今さらながら真っ青になった。
 『僕に任せて』の言葉の意味も、思い出した。
 テーブルにゴツンと額をぶつけながら、サラは叫んだ。

「――ゴメン! あのときは、クロル王子のおかげで助かった。ありがと!」

 この城へ来てからというもの、次から次へといろいろなことがありすぎた。
 ものすごく大事なはずなのに、うっかり忘れてしまったことが他にもある……そんな気がする。
 というか、自分は案外強運の持ち主なのかもしれない。
 大事なところで、必ず助けが入るのだから。

 顔を上げ、首の皮をむにむにと摘みながら、大きなため息を漏らすサラ。
 変な鼻歌を止めて、脱いだシャツをベッドに放り投げながら、クロルは「別にいいよー。ただ、エール兄には絶対黙っててね?」と念を押した。


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【後書き】↓次号予告&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
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 ああ、また話が長くなってもーた。なかなかラストにたどり着けないけど、だんだんアホな小ネタ盛り込みが調子に乗ってきました。小ネタモアザンラブ! と叫んで、もっと入れたいのはヤマヤマなのですが、本当に話が進まないので止めておきます。これでさすがに大部分の伏線回収できたと思うけど、どーだろう……なんかもう本気で読み直したくなくなってきましたが、八月中には全体ざっくり見直すつもりです。あ、仕事がズルッと間延びしたので、七月中は苦しくなってきました。この話も、さすがに八月中に終わるだろうと思ったら……かなりギリです。あと六十弱。まるまる二章分! ヒー! ムンクになりそう。
 次回は、今度こそラスト。クロル君の告白編です。あと、一個童話を作りました。物語のエッセンスに即興で作ったんだけど、ちゃんと書いても良さそうな……。

第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(2)~

第三章 王位継承


 新しい紙コップを用意して、クロルがお茶を淹れなおしてくれた。
 至れり尽くせりなお姫様扱いは今日が最後だろうしと、サラはその好意をありがたく享受した。
 熱いお茶に癒されるサラに、クロルの懺悔の声が届く。

「ゴメン……僕がもっと早く動いてたら良かったんだ。コーティのことも、エール兄のことも……」
「ううん! クロル王子のおかげで、こうして事件が解決したんだもん。本当に良かったと思うの」

 慌てて否定しながら、サラは心を落ち着かせるように、黒い剣の束を握り締めた。
 もしもあのときダイスあったら……と考えかけたサラの心に、天邪鬼な魔術師の顔がふっと蘇る。
 サクラ並木で別れたときに初めて見た、真剣な表情。
 苦しげに眉根を寄せ、必死で何かを耐えていた。

「魔術にも、道具にも……頼り過ぎることが、人の心を弱くする」

 零れ落ちたサラの呟きに、クロルは瞳を強く光らせながらうなずいた。
 あの時、魔術師ファースが口に出さずに堪えたのは、そういうことだったんだろう。
 自分の力でやりとげなければならないと。
 国王が“魔法の水”に頼る自分を止められなかったのも、全部裏表なのかもしれない。

「侍従長も、自分で最後と思ってたのかもね。盗んだ本はすべて処分したって、あの月巫女が言ってたし」

 クロルの台詞に、サラはうなずいた。
 侍従長は賢い人だから、充分自覚していたのだろう。
 自分が、人の道を踏み外したことを。
 そしてこの先、自分と同じような人間が出て来てはいけないと。

  * * *

 昨日の深夜までかかった、事件の大掛かりな調査の前半は、クロルの証言が中心だった。
 侍従長がクロルに『懺悔』をしなくなって以降の行動は、月巫女が補足した。
 そこには、サラも立ち会っていた。

「あのときの、クロル王子の誘導尋問、すごかったね」

 苦笑したサラに、クロルは心外とばかりに頬を膨らませる。
 
 国王以下、重要人物がずらりと首を揃えて見守る中、月巫女は無表情で椅子に座っていた。
 飲ませていたという銀の髪を、もう一本たりとも落とさないよう、ひとくくりに結わえて。
 中には「切り落としてしまえ」という意見も出たけれど……国王が止めた。

 クロルと国王の連携によって、月巫女の責任を問う前にすぐできることから決まっていった。
 まずは、三つの塔の封印をより強固にし、赤い花の広場を墓地として整えること。

 おとなしく聞いていたエールは、疲れた顔を真っ直ぐ上げて、封印強化の実行役を名乗り出た。
 傍に居たリグルは、騎士たちによる森の整備を約束した。
 アロハシャツ姿の文官長は、ぎょろりと飛び出た目を細めながら、全ての発言を記した。

 何も知らなかった王姉が隠れ家として逃げ込み、エールが引継いだ小さな楽園は、この国の暗部として人目に晒されることになった。
 過去、逃げ出した二人を探してあの広場を何度も訪れたというデリスが、切なげに国王を見上げていた。
 砂地はかなりの深さまで掘り起こし、遺留品を全て回収した後は、デリスが鑑定を行うことになった。

 誰もが苦しい胸のうちを隠しながら、事務的に話を進めていった。
 そんなやりとりを、月巫女は何も映さない透明な瞳で見ていた。
 誰に何を問われても、繰り返された言葉は一つ。

『私はただ、周りの方から望まれることに協力しただけです』

 彼女のささやきは、真実だった。
 それなのに、その言葉はもうみんなの心に届かない。
 真実も、角度を変えれば嘘になることが分かったから。

 月巫女の嘘を暴いたのは、クロルの質問だった。
 王姉のことで悩める侍従長に、闇の魔術の存在を示唆し、銀の髪を与えた。
 見返りに、王妃の座を求めた。
 自分の口では何も言わずに、それら全てを侍従長に悟らせ、命じられる側にまわった。

「月巫女って、本当は誰よりも純粋な人なのかもしれないね」

 クロルの誘導尋問に抵抗する様子も無く、思うままを口にした月巫女の姿が、あの夜サラの部屋を訪れたコーティと重なった。
 コーティの振りをした月巫女は、とても素直で……あっという間に尻尾を出した。
 少し舌ったらずなしゃべり方をしていたような気がする。

 あの夜フルーツエードを準備したことを、本物のコーティは知らなかった。
 つまりは月巫女自身が、サラが本当に喜びそうなものを考えてくれたのだろう。
 単に毒を飲ませるためなら、ただのお茶でもジュースでも良かったのに。

 闇の魔術を操る、純粋な乙女。
 どうしても憎みきれないのは、砂漠の王宮にいるあの無邪気な少女と重なるからだろうか?

「それはサラ姫が純粋だから、そう見えるんじゃない? 僕から見ると、あの女は真っ黒でドロッドロ!」

 顔をしかめながら舌を出すクロスに、サラは「王子! はしたない!」と、デリスの口真似で応戦する。
 クロルは、亀のように首を引っ込めて「ゴメンナサイ」と笑った。

「デリスばーちゃんにも、いっぱい迷惑かけちゃったよ。これから親孝行しなきゃねー」
「あっ、私もう一個、デリスを喜ばせるネタ思いついちゃったんだ」

 今晩開かれるサラのお別れパーティに仕込んだ、一つのサプライズ。
 想像しただけで、自然にサラの頬はつりあがってしまう。

 パーティには、サラの好きな人たちや、お世話になった人がみんな集まる。
 サラの指を縫ってくれた医師長も、コーティへのお土産をくれた魔術師長も。
 一度は闇の魔術に狂わされた人たちも、全員が許されたのは、国王の鶴の一声があったせい。

『最初に狂ったのは、俺の弟。狂わせたのは俺。月巫女や侍従長をおさえられなかったのも……この事件の根本にあるのは、すべて俺の判断ミスだ』

 国王が頭を下げたとき、隣で支えたのはデリスだった。
 体の自由を奪われていた月巫女は、椅子の上に座ったまま、無表情のままその姿を見つめていた。
 サラは、少しだけ涙ぐみ……すでに“影の国王”というニックネームが定着した若干十三才の少年は、いつもどおり冷たい手で、サラの手を握り締めていた。

 その後すぐ、医師長と魔術師長が、泣きながら土下座をした。
 闇の薬をばらまく役目として二人が取り込まれたのも、すべては自分の弱さから。
 彼らは、心の奥に閉じ込めていた自らの闇を吐露した。

『死者の魂を、蘇らせたかった』

 それは、魔女となった王姉が求めたもの。
 大事な人を失った者が、一度は必ず囚われるだろう闇。
 侍従長が少しずつ人間の域を超えていくことを、二人は恐れながらも憧憬の目で見つめていたという。

  * * *

 医師長と魔術師長、二人の体に回った毒は、あの広場で赤い花が消えた瞬間に抜けたらしい。
 コーティと、侍従長の二人の命を救いたいと願ったときに。
 死んでしまった人を蘇らせることはできないのだ。
 そのルールを覆すために、他の誰かの命を犠牲にしなければならないなら、自分が冥界へ行くまでもう少し待てば良いだけ。

 魔女は、待てなかった。
 最初は止めようとしていた侍従長も、結局はその魅力に引きずられてしまった……。

「それで、侍従長は……?」
「うん、元気みたいだよ」

 サラは、ほうっと吐息を漏らした。
 あの時死んだと思われた侍従長も、実は生きていた。
 クロルが、生き返らせてくれた。
 どんな魔法を使ったのかは、誰も知らない。

「サラ姫だけには教えてあげようか? なんてったって僕の嫁だしっ」

 とても嬉しそうに聞いてくるけれど、サラは「いいえ、要りません。そして嫁にもなりません」とシャットアウトした。
 チェッと唇を尖らせるクロルは、本当にかわいい。
 ちょっとクールで皮肉屋だけど、素直で賢くて優しくて……最高の弟分。

「本当はね、昨日のためにいろいろ仕込んでたことがあってさ」

 子どもの頃の国王に似るといわれる、いたずらっこな笑みを浮かべて、クロルは魔法の種を明かしてくれた。


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【後書き】↓次号予告&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
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 またもや中途半端なとこで切れてすみません。もうそろそろ、説明はイランでしょう……。作者の頭もどんどん悪くなってきましたよー。拾い忘れた伏線ボロボロ、英単語や方程式のように落っこちていきます。また全面見直しの際には、ペコペコしつつ修正するかもしれません。いや、来る、きっと来る……。侍従長は、とりあえず死なせませんでした。この話では、極力人の死は無しの方向でいきます。死んじゃってはいないけど……というのは次回簡単に。
 次回は、クロルにちょっとイチャつくチャンスをあげつつ、クロル君のちょっとした秘密暴露予定。ずれ込んですみません……。

冷蔵庫にゆずシャーベット 本編

冷蔵庫にゆずシャーベット


 冷蔵庫にはいつも、ゆずシャーベットが入っていた。甘い物が苦手な彼も、それだけは好きだった。私はバニラ、彼はほろ苦いゆず。「溶けちゃうから早く!」と手を繋いで走ったコンビニからの帰り道。宝石箱のような星空を指差して、私は「ねえ、覚えてる?」と幼い頃に食べたアイスの話をした。「その話聞いたよ」と呆れつつも、彼は優しく相槌をうってくれた。

 小さなソファの隣は、絶対譲れない私の指定席。暑がりな彼が「くっつくなよ」と言っても、私は「ヤダ」と舌を出した。「木のスプーン食べにくいのに」と我侭ばかりの私。横顔を見上げていると、すぐにアイスが滑り落ちる。キャミソールの胸元で、とろりと溶ける甘く白い滴。彼は笑いながら唇を寄せ、ペロリと舐め取ると「甘いな」と囁いた。眼鏡の奥で揺らめく瞳が、私にはなにより甘かった。


 冷蔵庫のゆずシャーベットは、あの夏から減らない。
 バニラアイスは、今も胸に落ちて張り付いたまま。


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【後書き】補足&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
(携帯の方は「テキストコピー」でたぶん読めます)
 上記作品は『1P(400字)で物語を作る』という過酷な課題にチャレンジしたものです。タイトルは、某少女漫画タイトルからインスピレーションいただきました。『宝石箱』は、昔売ってた雪印のアイスです。バニラの中にキラキラの氷……衝撃的でした。物語そのものは「文字数制限の中でどれだけ“イチャイチャ”を盛り込めるか?」というのが目標でした。ラストの二文は、読者さまのご想像にお任せ……という形になってしまうことをお許しください。

冷蔵庫にゆずシャーベット あらすじ

冷蔵庫にゆずシャーベット


「冷蔵庫にはいつも、ゆずシャーベットが入っていた」私と彼のアイスをめぐる甘い生活……その結末は? 一分間のラブストーリー。
※『1Pで物語を作る』というチャレンジ作。夏向きのひんやり系。見る方によって、ラストの意味が変わるようです。それぞれの余韻をお楽しみください。
【2009.6】某小説サイト様で、高評価いただきました。(辞退により未掲載です)

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第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(1)~

第三章 王位継承


 コーティと壮絶な女のバトルを繰り広げた日の午後、図書館四階。
 サラは小さな折り畳み椅子に座り、紙コップのお茶をすすっていた。
 狭くて薄暗くて埃っぽくて、壁際に積まれた本の束からは古い紙の匂いが漂う……そんな場所に、不可解な居心地のよさを感じつつ。

「もう終わったの? 事情聴取」
「うん、まあ大体ね」

 王子様の衣装が無くても、微笑むクロルはやっぱり王子だ。
 そして、ドレスが無くてもサラは……。

「黒騎士サマは、もう終わった? 出発の準備」

 サラは、腰に差した黒剣に触れた。
 久しぶりに手にしたというのに、いつもここにあったかのようにしっくり馴染む。
 伸びかけた髪を切り、こざっぱりしたサラは、少年騎士の強気な笑みを浮かべながらうなずいた。
 耳や首元がスースーして、なんだかくすぐったい。

 サラの荷物は、この衣装と剣だけ。
 いただいたドレス等は、部屋に残していく。
 誰かに譲るか、いっそ処分してもらった方が良いかと思ったものの、あっさり却下された。
 サラの体型に合わせて作られたからというよりは、国王が「どうせすぐに戻ってくるんだろう?」と当たり前のように言ってくれたので、そのまま置かせてもらうことにした。

 豊かで暖かいこのオアシスを立つことに、未練は無い。
 ただ、抜けない小さな棘のようなものが、サラの胸には残ったままだった。

「あの、侍従長は……」

 戸惑いながらも、問いかけずにいられないサラ。
 小さな折り畳みテーブルの向こうで、クロルは笑った。

  * * *

 事件の真相解明は、全てクロルの推理どおりに進んだ。
 クロル立会いのもと、重要参考人のみに行われた事情聴取で、背景は昨日のうちにほぼ明らかになった。
 医師長や魔術師長……その他、薬を飲まされていた者たち。

 なぜクロルが刑事のようなことをしたのかというと、一つ大きな理由があった。
 口を開くことのできなくなった侍従長の代わりに、クロルの特別な力が披露されたのだ。
 母の胎内にいるときから、一度耳にしたことは忘れない……そんな恐ろしい記憶力は、侍従長の罪を再生するレコーダーとなった。

「侍従長は、代々王族に仕える側近の一族なんだけどね……彼で、その血筋は途絶えるんだ」

 侍従長に兄弟はいない。
 そして、結婚もしていない。
 人生の全てを、王族の教育と国の繁栄に費やしてきたという。

「でも、僕だけは知ってたんだ。彼が本当は誰を好きだったかをね」

 赤ん坊のクロルに、侍従長は何度も語りかけたのだという。
 クロルの母親が、いかにわがままで、お転婆で、昔から自分を困らせてきたかを……。
 まるで『動物の耳はロバの耳』のよう。
 サラの中で、頑迷な老人という侍従長のレッテルは少し変わった。

「じゃあ、好きな人……王姉に協力するために、闇の魔術を?」
「うーん、まあキッカケはそうかもね。月巫女が来たのも大きいし。ヒントを与えたのは、全部あの女だから」

 クロルは何かを思い出したように顔色を曇らせ、うつむいた。

「侍従長は、悪魔に祈ったんだ。自らの命が永遠となることを。永遠に、この国の繁栄を見守りたいと」

 小さなクロルを抱き、狂ったように笑いながらそう告げたのは、魔女が生まれた日の夜。
 それは、彼の愛したお転婆な姫が、その器だけを壊して消えた日。
 仕えてきた三人兄弟の二人を失い、侍従長にはもう国王しか残っていなかった。

 国王を支え、この国を守ることだけが、彼の支え。
 闇の魔術に蝕まれていく体を捨て、新たな器へ移動することを考えている中で、侍従長は……エールに目を留めた。
 彼の愛しい女性が最後まで執着し、殺しそこなった人物へ。

「魔術師長と医師長を巻き込んだのは、エール兄がターゲットだったから……僕はそう思ってる」

 侍従長が、魔術師長たちを操りながらも、必死で光の宝石を捜していたのは本当のこと。
 王姉の魂を捧げる以外の方法で、エールを傷つける闇の残滓を追い払うべく、努力していたという。
 ただし、エールが回復したその後は……。

 甘酸っぱいフルーツエードの味とともに、苦い記憶が蘇る。
 自分には、気付けなかった。
 コーティもエールも、その中に別の誰かが居たことを。

「エール兄への執着が激しくなるにつれて、僕への興味は薄れていったみたい。僕としては、おかげでいろいろやりやすかったんだけどさ」

 ありとあらゆる手段で国王を脅かす者を排除していく、冷酷な処刑人となった侍従長。
 月巫女は、そのために必要不可欠なツールであり、共犯者だった。
 その証拠を少しずつ集めていった、幼いクロル。

「闇の魔術で一番簡単なのが、物質の空間移動なんだ。何も無い空間に、モノを移動させる。風の力を使えばモノはずっと消えないけれど、闇の力を使えばモノは一度この世界から消える」

 飲み終わってグシャリと潰した紙コップを、上手に手の中へ隠して、クロルはサラの目の前でパッと開く。
 サラは、猫型ロボットの出てくる漫画に、そんな便利な道具があったかもしれないと思った。
 魔術というものは、その漫画に出てくる道具と一緒だ。
 万能ではないし、何より利用する側の気持ちが問われる。

「侍従長も、最初はモノが移せるだけでいいと思っていたんだ。でも闇に囚われた侍従長は、自分の肉体を移動できるようになってしまった。結界をも越えられると気付いた後、彼は真っ先にここへ来たんだ……」

 クロルは、指先で天井を指しながら、緊張感無くずずっとお茶をすすった。

  * * *

 真っ直ぐ上に伸ばされたひとさし指が、『この指とまれ』と誘っているようで、サラは思わずその指を掴んだ。

「……なにこれ。意味あるの?」
「うん。私の世界では、親愛の証」

 何の色にも染まっていない子どもだったクロルを、知らず闇に染めていこうとする大人たち。 
 でも、国王や文官長、デリス、そしてなにより兄弟によって、クロルは守られた。
 自分がもしそこにいたら、きっとクロルとめいっぱい遊ぶだろう。
 鬼ごっこなら勝てるけれど、かくれんぼだったら絶対勝てないかも?

 一人楽しそうに笑うサラの手を振り払って「やっぱり変な女」と呟いたクロル。
 サラは笑顔を消すと、部屋の低い天井を見上げた。
 普段は決して火の灯らない豆電球のようなランプが、何も無い天井にポツンと付いている。
 クロルが開発した、重さ測定装置だ。

 もしもこの上に何かが乗れば、土の魔力が働いてそれを知らせるしくみらしい。
 あかりが灯るたびに、この王城から誰かが消えた……。

「侍従長は、封印された部屋の中に見つけてしまったんだ。赤い花の咲く広場の秘密を」

 決して見てはならない禁呪関連の書物には、遠い過去にこの城で行われていた、おぞましい事件の詳細が記されていた。
 クロルは「これから言う話は、全部推測なんだけど」と前置きしつつ、語ってくれた。

「三本の塔が作る逆結界は、ずいぶん昔から重要人物の処分場として使われていたらしいよ。言われてみると、歴代の王族の中でも存在を消された人物がけっこうたくさんいて、その大部分が“失踪”って扱いだから」

 嘘をつかないクロルの言葉は、真実になる。
 目を閉じれば浮かぶのは、はかなげなコーティの笑顔。
 昨日の朝、コーティを抱えた侍従長は、開かずの間の最奥へテレポーテーションを行う。
 自分の髪を引きちぎってコーティとともに置き、もう二本の塔にも髪を置いてを回った後、何食わぬ顔で会議へと現れた。

 国王と王子たちの、くだらないやりとりに怒りを露にしていた侍従長の表情が、サラにはもう良く思い出せなかった。
 クロルは、バカバカしいやり取りに加わりつつも、ずっと侍従長を見ていた。
 生まれてすぐに彼の罪を知ってから十三年、ずっと見つめてきた。
 それがクロルの罪だとしたら、もう解き放たれていいはずだ。

 サラの瞳が少しずつ潤んで、輝きを増していく。

「でも、コーティが助かって本当に良かった。もし間に合わなかったら、私……」

 助かったのは、コーティの心に現れた新しい恋人のおかげ。
 今度その話になったら、一緒に『彼のどこが素敵か?』なんて語り合うなんてのも悪くないなと、サラは涙目のまま笑った。


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【後書き】↓次号予告&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたい方のみ反転を。
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 この話も、大幅改稿しました。ガンガン説明入れちゃいましたが、ついてきてもらえてるか心配……。というか、アップの時間がこの連載始まって以来ワースト! 土下座で謝ります……アップする直前に書き直しながら頭が悪くなって、「ちょっと仮眠とって、すっきりしてからアップしよー」なんて思ったら、なんということでしょう……これぞ侍従長の呪い。どうやら何者かに操られていたようです。嘘です。(←嘘はつくけど正直者)とにかく、分かりにくい説明調な台詞は後日修正しますので、今はご勘弁を~。
 次回は、シリアスな補足の後半戦。クロル君のもう一つの秘密も明らかに……。もうちょい明るいテイストでお届けする予定です。 ※あちこちに告知させていただいてますが、短編『チビ犬とムツゴロウの恋愛事件簿』絶賛PR中です。この機会にぜひ読んでやってください。サラちゃんより賢く、クロル君より腹黒な(?)サヤマ君という名探偵男子が、チビ犬ちゃんのために犯人探しする話です。爽やかスッキリな読後感を保障します。

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第四章 プロローグ1 ~サプライズパーティ~

2009.07.05【 第四章 女神降臨

  壇上にずらりと並んだ椅子には、いつものメンバーが腰掛けている。 中心には、やはり国王。 隅っこに引っ込もうとしたところを「王位継承の式を執り行うまでは、この場所に居てください」と、リグルたちが強引に座らせた。 おかげで若干不機嫌そうにも見えるが、実際は頼りにされることを喜んでいるようだ。 国王の隣には、サラ。 ドレスではなく、黒騎士の姿でここに座るのは初めてだ。 腰の黒剣は、一応バルトに預けてあ...全文を読む


第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(4)~

2009.07.04【 第三章 王位継承

  侍従長の話がひと段落しても、サラの心の棘はまだかすかに痛みを放つ。 もう一人、気になって仕方が無い存在がいるから。 サラは、思い切って訪ねた。「それで……これから月巫女は、どうなるの?」「別に、サラ姫が気にすることじゃないよ」 一気に不機嫌になるクロルを、サラはとがめるでもなく黙って見つめ返した。 月巫女の罪は、タロットカードの『月』のように曖昧。 刑事ドラマ風に言うなら、限りなくク...全文を読む


第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(3)~

2009.07.03【 第三章 王位継承

  亡くなったとばかり思った侍従長が生きていた。 その種明かしは、凄腕シェフ・クロルの手によって、三分クッキング風にあっさり説明された。「確か、闇の魔術が解けるには、それをかけた人の命と引き換え……じゃなかった?」 ちょっと不器用なアシスタントもなんのその。 魔術についてうろ覚えのサラが問いかけても、クロルは良くぞ聞いてくれましたとばかりに余裕の笑みを浮かべる。「まあ、ラッキーなとこもあ...全文を読む


第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(2)~

2009.07.02【 第三章 王位継承

  新しい紙コップを用意して、クロルがお茶を淹れなおしてくれた。 至れり尽くせりなお姫様扱いは今日が最後だろうしと、サラはその好意をありがたく享受した。 熱いお茶に癒されるサラに、クロルの懺悔の声が届く。「ゴメン……僕がもっと早く動いてたら良かったんだ。コーティのことも、エール兄のことも……」「ううん! クロル王子のおかげで、こうして事件が解決したんだもん。本当に良かったと思...全文を読む


冷蔵庫にゆずシャーベット 本編

2009.07.01【 冷蔵庫にゆずシャーベット

  冷蔵庫にはいつも、ゆずシャーベットが入っていた。甘い物が苦手な彼も、それだけは好きだった。私はバニラ、彼はほろ苦いゆず。「溶けちゃうから早く!」と手を繋いで走ったコンビニからの帰り道。宝石箱のような星空を指差して、私は「ねえ、覚えてる?」と幼い頃に食べたアイスの話をした。「その話聞いたよ」と呆れつつも、彼は優しく相槌をうってくれた。 小さなソファの隣は、絶対譲れない私の指定席。暑がりな彼が「くっ...全文を読む


冷蔵庫にゆずシャーベット あらすじ

2009.07.01【 冷蔵庫にゆずシャーベット

 「冷蔵庫にはいつも、ゆずシャーベットが入っていた」私と彼のアイスをめぐる甘い生活……その結末は? 一分間のラブストーリー。※『1Pで物語を作る』というチャレンジ作。夏向きのひんやり系。見る方によって、ラストの意味が変わるようです。それぞれの余韻をお楽しみください。【2009.6】某小説サイト様で、高評価いただきました。(辞退により未掲載です)→ 【本編へ】 → 【Index(作品もくじ)へ】...全文を読む


第三章 閑話3 ~名探偵クロル君の休息(1)~

2009.07.01【 第三章 王位継承

  コーティと壮絶な女のバトルを繰り広げた日の午後、図書館四階。 サラは小さな折り畳み椅子に座り、紙コップのお茶をすすっていた。 狭くて薄暗くて埃っぽくて、壁際に積まれた本の束からは古い紙の匂いが漂う……そんな場所に、不可解な居心地のよさを感じつつ。「もう終わったの? 事情聴取」「うん、まあ大体ね」 王子様の衣装が無くても、微笑むクロルはやっぱり王子だ。 そして、ドレスが無くてもサラは&h...全文を読む


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